お茶湯(おちゃとう)とは|利休忌に捧げる天目台の一服【茶道教室 結空】

天目台にのせた天目茶碗と菜の花を飾った利休忌のお茶湯。春の祈りを込めた一服。

春の風がやわらぎ、庭の草花が芽吹くころ――。
茶道にたずさわる者にとって、3月は「利休忌」を迎える大切な季節です。

表千家では、毎年3月27日に宗匠自らが御茶湯(おちゃとう)を行い、
大徳寺聚光院様での拝経の後、「茶カブキ」や「廻り花」など、七事式の行事が営まれます。
(※同門に所属されている方は、同門会へのお申し込みの上 ご参加可能です。)

千利休居士の遺徳を偲び、茶の湯の心をあらためて見つめ直す一日となります。

利休居士の掛物の前に、琉球花入に生けた菜の花を飾った床の間の写真。春の利休忌を静かに表す一枚。
利休忌の床の間に飾られた、菜の花と利休居士の掛物。

利休忌の頃に行われる「御茶湯」とは

御茶湯は、仏前に捧げる特別な一服です。
天目台に天目茶碗をのせ、湯を入れ、その湯の上に抹茶を一勺。
茶筅を使わず、湯の面に漂う香りを静かに味わいます。

茶杓についた抹茶を落とすときも、茶碗の縁ではなく内側に櫂先をあてて。
その所作一つひとつに、敬いと慎みの心が宿ります。


菜の花に込められた利休の心

この利休忌で、花として用いられるのが菜の花です。
菜の花は、利休が愛したといわれる花のひとつ。
その明るくやさしい黄の色は、華美ではなく温かく、
利休居士への供えとしてふさわしい「侘び」の象徴です。

今年のお稽古では、その菜の花を琉球花入に生けました。
やわらかな土の色をした花入の曲線に、春の光が静かに映り、
菜の花の明るい黄がいっそうやさしく映えます。

床に飾る花入れに菜の花を一枝――。
それだけで室内にやさしい春の光が満ち、
お茶湯の湯気とともに、祈りの心がふわりと立ちのぼります。

こうしてお茶を点てられる今この時に、感謝の気持ちをそっと重ねながら。
その静けさの中にこそ、利休の教えが息づいているように感じます。


茶道教室 結空で体験する 心整える時間

一服を供えることのありがたさ、
茶を通して心を整えられる幸せ。
そのひとときこそ、春の利休忌にふさわしい「お茶湯」の時間です🍵


花をのみ 待つらむに人に 山里の
雪間の草の 春をみせばや (藤原家隆)


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